無限庵は金沢より移築した建物である。それは元家老横山家の分家横山章(横山家13代隆平の弟隆興の子)が、金沢市内高岡町にあった邸内に建てた書院であった。
子息の婚儀に際し設けたものと伝えられ、当時から「新御殿」と呼ばれていたという。明治末期の建築といわれ、この地方における当時の木造技術の粋を傾けた最高級の普請であったと今も関係者の間では、語り伝えられている。その華麗な遺構は横山家の盛時を偲ばせる。成巽閣(重文・金沢)に見るような武家邸宅書院の伝統を継承する近代の書院造として貴重な遺構と言わねばならない。
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